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ITERの完成予想図(ITER機構より許可を得て掲載)

海水に豊富に含まれる水素とリチウムを使って発電するFusion Energy(核融合発電)がエネルギー問題を解決する次世代の発電技術として注目されています。Fusion Energyは太陽がエネルギーを生み出す仕組みを地上に実現する試みです。Fusion Energyはまだ実現していない技術ですが、実現すれば人類は数万年の間エネルギー資源の枯渇に悩まされなくなりますので、SDGs:持続可能な開発目標の達成に大きく貢献できます。温室効果ガスの排出量も少ないという利点もあります。また、原理的に暴走の危険性がなく、原子力発電のような高レベルの放射性廃棄物が生じないこともこの発電技術の特徴です。
本研究室では、エネルギー問題の解決を目指し、Fusion Energy実現のための大型実験装置:LHD、DEMO、そして、フランスに建設中のITERなどをターゲットに、炉壁と周辺プラズマの挙動を数値シミュレーションと機械学習を用いて解析しています。




周辺プラズマ中で分子が関与する反応の効果を理解するため、炉壁から水素リサイクリングにより放出される水素原子・分子の情報(特に、振動・回転準位の分布)を、分子動力学法をベースとする機械学習を用いて解析しています。さらに、中性粒子輸送計算を実施する際、炉壁での境界条件として分子動力学法から得た結果を用い、その効果を調査しています。

LinkIcon詳しくはこちら( Contrib. Plasma Phys., 2020/01, e201900153 (2020))
LinkIcon詳しくはこちら( Contrib. Plasma Phys., 2020/03, e201900152 (2020))


核融合炉材として注目されているタングステンにヘリウムプラズマを照射すると、タングステン表面にヘリウムバブルと呼ばれる気泡状の構造が成長することが知られています。二体衝突近似法に多体ポテンシャルを組み合わせた方法でタングステンにヘリウムプラズマを照射する系を計算しています。そして、ヘリウムバブルの成長に伴うすスパッタリング率、ヘリウム吸収率等の変化を調べています。

LinkIcon詳しくはこちら( Jpn. J. Appl. Phys. 57 01AB06 (2018))



放射線は目に見えないため、その危険性・安全性を直感的に理解することが難しい物理現象です。本研究室では、複合現実を実現するMicrosoftのデバイスHoloLensを用い、目に見えない放射線を可視化するシステムを開発しています。


水中に配置したヒトDNAテロメア分子の挙動を分子動力学法でシミュレートしています。


二重鎖切断されるDNA分子の切断回数を評価するため、一分子観察法により蛍光顕微鏡で撮像されたDNAの長さを自動計測する方法を研究しています。

LinkIcon詳しくはこちら( J. Adv. Sim. Sci. Eng., 8 2 173-193 (2021))


半導体のエッチング加工のシミュレーションなど、材料(標的材)に原子・イオンが入射する系を分子動力学法で周期境界条件などを課してシミュレートする際には、入射原子・イオンの有する運動エネルギーが標的材に蓄積するという問題が生じます。この問題を解決するため、分子動力学計算領域の外側に熱伝導を計算する計算セルを設け、分子動力学計算領域外へ熱エネルギーが自然に逃げていく計算手法を開発しています。

LinkIcon詳しくはこちら( Plasma Fusion Res. 15 2403073 (2020))


分子の運動を計算する多様な手法が提案されています。化学反応を計算でる分子動力学法は低エネルギー域の計算に適しますが、計算コストが大きいという問題があります。一方、二体衝突近似法と呼ばれる方法は、高エネルギー域の計算に適し、計算コストが小さいという特徴があります。そこで、高エネルギー域を二体衝突近似法で、低エネルギー域を分子動力学法で計算するハイブリッド法を開発しています。

LinkIcon詳しくはこちら( J. Nucl. Mater. 415 S208 (2011))


グラフェンに水素を照射する際、グラフェンに打ち込まれた水素原子は、反射するか、貫通するか、炭素原子に化学結合する(吸着)かのいずれかの結果となります。入射エネルギーおよび入射角度をパラメータとして反射・貫通・吸着が生じる割合とその動的過程を詳細に調べています。

LinkIcon詳しくはこちら( J. Appl. Phys. 110 084320 (2011))


本研究では、炭素を堆積させる分子動力学シミュレーションを行い、生成される炭素原子のボンド異方性について調べています。

LinkIcon詳しくはこちら( J. Appl. Phys. 51 01AC05 (2012))


マイクロ波を用いた大気圧プラズマジェット発生装置を用いて、核融合炉材として注目されるタングステンにヘリウムプラズマを照射する実験を行っています。


大気圧プラズマジェットの電子温度を測定するための静電探針計測法を開発しています。

LinkIcon詳しくはこちら (J. Appl. Phys. 107 123306 (2010))